「テカるから乳液はいらない」。夏になるとこう考える人は少なくありません。
実はわたしがエステティシャンだった頃、同じことを言うお客様が何人もいました。皮脂が多い=保湿は十分、という思い込みです。ところが肌スコープでキメを拡大してみると、セラミドが抜け落ちてバリア機能がスカスカになっていたケースが本当に多かった。肌は嘘をつかない——目に見えるテカリと、角質層の中の潤いはまったく別の話なんです。
この記事では、夏に乳液を省くことで起こるリスクと、肌タイプ別にベタつかない乳液を成分で選ぶ方法を整理します。
なぜ「夏にベタつくから乳液をやめる」と逆効果になるのか
皮脂と水分保持力は、まったく別の機能です。
皮脂膜は肌の表面を覆う「油分の膜」。一方、バリア機能の主役は角質層内のセラミドやNMF(天然保湿因子)で、これらが角質細胞の間を埋めて水分を抱え込んでいます。
乳液を省くと、この角質層の水分保持をサポートする油分の補給がなくなります。すると肌は内部の乾燥を感知して、さらに皮脂を出す——つまりテカリを抑えたくて乳液をやめたのに、かえってテカるという悪循環に陥ります。
ビオデルマの皮膚科学コラムでも、「夏にインナードライが増える理由は、紫外線とエアコンのダブルダメージに加えて、ベタつきを嫌ってスキンケアを引き算しすぎること」と解説されています。
エステで2,000人の肌を見てきた経験からも、乳液を省いている方のほとんどは角質の水分量が足りていませんでした。皮脂量が多いことと、バリア機能が健全であることは、イコールではないのです。
自分がインナードライかどうかを見分ける30秒セルフチェック
乳液が本当に不要なのか、それとも実はインナードライなのか。洗顔後にたった30秒で判定できます。
やり方:朝の洗顔後、何もつけずに5分待つ。そのあと頬の内側を指の腹で軽く触ってみてください。
- Tゾーンだけテカって頬はつっぱる → インナードライの可能性大。乳液は必須です
- 顔全体がしっとりして皮脂も少ない → 乾燥肌寄り。保湿力の高い乳液を
- 顔全体がテカるが指で触るとカサつきがある → 脂性肌+バリア機能低下。軽めのジェル乳液でセラミドを補給
- 全体にテカるがつっぱり感なし → 真性脂性肌。軽いジェル乳液で薄く整えればOK
このチェック法は、わたしがエステ時代からお客様に伝えてきた簡易版の肌タイプ判定です。迷ったら「乳液を省く」ではなく「軽いものに替える」が正解です。
肌タイプ別・夏の乳液の選び方——成分で選ぶ3つのポイント
「どの乳液を選べばいいの?」の答えは、肌タイプによって変わります。わたしの評価基準は成分→肌タイプ→使用感→価格の順。パッケージの宣伝文句ではなく、裏面の成分表を見ましょう。
脂性肌:ジェル乳液 × セラミド × ノンコメドジェニック
脂性肌に重いクリームは不要ですが、セラミド補給は必要です。選ぶべきは水分ベースのジェル乳液。
- 成分表に「セラミドNG」「セラミドNP」「セラミドAP」のいずれかがあるか確認
- テクスチャーはジェルまたはウォータリータイプ。「乳液」と書いてあっても水分比率が高ければベタつきにくい
- ノンコメドジェニックテスト済みの表記があればなお安心
マイベストの脂性肌向け乳液比較でも、軽いテクスチャーながら保湿成分をしっかり配合した製品が高評価を得ています。
混合肌・インナードライ:セラミド + ヒアルロン酸の二刀流
Tゾーンはテカるのに頬は乾く——この悩みには、セラミドで油分を補いながらヒアルロン酸で水分を抱え込むダブルアプローチが有効です。
- セラミド配合のさっぱり乳液を顔全体に薄くなじませる
- 頬や口元の乾きやすい部分だけ重ね付けする
- 化粧水の段階でヒアルロン酸をしっかり入れておくと、乳液の保湿持続が上がる
敏感肌:低刺激処方 × セラミド × 抗炎症成分
敏感肌の夏は紫外線とエアコンでバリアが揺らぎやすい時期。乳液を省くのは最もリスクが高いタイプです。
- セラミド + グリチルリチン酸2K(抗炎症)の組み合わせが安定の選択肢
- アルコール(エタノール)フリーは必須。清涼感のためにエタノールが配合された「さっぱり乳液」は刺激になりやすい
- 香料・着色料フリーの表示も確認
夏の乳液の塗り方——量と手順で体感が変わる
「乳液はベタつくから嫌い」という人の多くは、量が多すぎるか塗り方に問題があります。
適量は10円玉大。手のひらに取り、両手で軽く温めてから顔の内側→外側へなじませます。ゴシゴシ擦るのではなく、ハンドプレスで押し込むイメージです。
塗る順番:化粧水で水分を入れる → 美容液(使う場合)→ 乳液で蓋をする。この順番は夏でも変わりません。皮膚科医の友利新先生もMAQUIAで「ベタつく季節も締めの乳液は必要」と明言されています。
もし塗った直後のベタつきがどうしても気になるなら、乳液がなじんだあとにティッシュで軽く押さえるか、フェイスパウダーを薄くのせてください。乳液を省くより、こちらのほうがバリア機能を守りながら仕上がりもサラッとします。
ちなみに、わたし自身は敏感肌で朝6時に起きてすぐ洗顔→セラミド化粧水→軽めの乳液というルーティンを年中続けています。夏だけ乳液を抜いたことも過去にありましたが、2週間後に頬のキメが乱れてきたのですぐ戻しました。まず2週間試す——これは新しい製品を始めるときだけでなく、何かを「やめる」ときにも使える判断基準です。
成分表で「ハズレ乳液」を避けるチェックポイント
夏用として売られている乳液のなかには、清涼感を出すためにエタノールが高配合されているものがあります。成分表の上位5番目以内にエタノールが記載されていたら、敏感肌・インナードライ肌は避けたほうが無難です。
逆に注目したい成分はこの3つ:
- セラミド(NG/NP/AP/EOP):角質層のバリア機能を直接補強する
- ナイアシンアミド:皮脂分泌を穏やかに抑えながらバリア機能もサポート
- スクワラン:皮脂に近い構造で肌なじみが良く、ベタつきにくい
成分で選ぶ習慣がつくと、パッケージの「さっぱり」「しっとり」といった曖昧な表現に振り回されなくなります。
FAQ
脂性肌でも本当に夏に乳液は必要ですか?
はい。皮脂が多くても角質層のセラミドが不足していることは珍しくありません。乳液を省くとバリア機能が低下し、かえって皮脂の過剰分泌やニキビの原因になる場合があります。テクスチャーの軽いジェル乳液で薄く整えるのがおすすめです。
乳液とクリーム、夏はどちらを使えばいいですか?
一般的に乳液はクリームより水分比率が高く、軽い使用感です。夏は乳液で十分な方が多いですが、エアコンの効いた室内に長時間いる方や敏感肌の方は、乾燥しやすい部分だけクリームを重ねてもよいでしょう。
朝と夜で乳液を変えるべきですか?
肌タイプによっては有効です。朝は軽めのジェル乳液でメイクのヨレを防ぎ、夜はセラミド濃度の高い乳液でしっかり補修する——という使い分けは、特に混合肌・インナードライ肌におすすめの方法です。
乳液をつけた後にベタつきが残る場合はどうすればいいですか?
まず量を見直してください。10円玉大が目安で、多すぎるとベタつきの原因になります。それでも気になる場合は、ハンドプレスでしっかりなじませた後にティッシュオフするか、フェイスパウダーで仕上げてください。乳液自体を省くのではなく、テクスチャーをより軽いものに替えるのが正解です。
プチプラの乳液でも効果はありますか?
成分で選べば価格と品質は比例しません。2,000円台のセラミド配合乳液で、デパコスと同等の保湿持続を確認した経験もあります。大切なのはブランドではなく、成分表にセラミドやナイアシンアミドがきちんと記載されているかどうかです。
参考文献
- 夏の保湿Q&A。友利 新先生が回答! ベタつく季節も「締め」の乳液やクリームは必要 — MAQUIA
- 夏でも敏感肌のインナードライ対策を! — ビオデルマ公式
- 【徹底比較】脂性肌向け乳液のおすすめ人気ランキング【2026年4月】 — マイベスト
- インナードライ(混合肌)とは?スキンケアで改善するためのポイントを解説 — アベンヌ(皮膚科監修)






