6月に入ると「朝起きたら顔がテカっているのに、洗顔後は頬がつっぱる」という声が一気に増えます。湿度が高いからベタつくのは当たり前——そう片付けてしまいがちですが、そのベタつきの裏に隠れた乾燥を見落とすと、梅雨明け後に一気に肌トラブルが加速します。
エステティシャンとして10年間、2,000人の肌を見てきたなかで、梅雨時期に「何を塗ってもベタつく」と訴えるお客様の多くが、肌スコープで見ると角質層のセラミドが不足してバリア機能がスカスカの状態でした。皮脂が出ている=潤っている、ではない。肌は嘘をつかないし、数値も嘘をつかない。今回は梅雨特有の肌トラブルを3タイプに分けて、成分で選ぶケア方法をお伝えします。
なぜ梅雨に肌トラブルが増えるのか
梅雨時期の肌トラブルは、湿度・気温・紫外線の3つが同時に変動することで起こります。
湿度上昇による皮脂分泌の増加。気温が上がると皮脂腺が活発になり、皮脂量は冬場の約1.5〜2倍に増加します。過剰な皮脂は時間が経つと酸化して「過酸化脂質」に変わり、肌を刺激する原因になります。
エアコンと外気の温度差による隠れ乾燥。室内のエアコンで肌表面の水分が奪われる一方、外に出ると湿気でベタつく。この繰り返しが肌の水分と油分のバランスを崩し、表面はテカるのに内側はカサカサという「インナードライ」状態を招きます。
曇りの日でも紫外線量は真夏の8割。資生堂の公式情報によると、6月の紫外線量は年間でもピークに近い時期。曇り空でも油断できません。紫外線はバリア機能を直接的に低下させるため、保湿と同時にUVケアを怠らないことが重要です。
梅雨の肌トラブル3タイプ診断——鏡の前で30秒
梅雨の肌トラブルは大きく3タイプに分かれます。タイプを間違えると有効な成分を使っても効果が出にくいので、まず自分がどのタイプかを見極めましょう。
チェック方法
朝の洗顔後、何もつけずに10分待ってから鏡を見てください。
タイプA:皮脂過剰型(Tゾーンも頬もテカる)
特徴:洗顔後10分で顔全体にうっすら皮脂膜ができる。毛穴が開き気味で、ニキビや吹き出物が出やすい。
原因:気温上昇による皮脂腺の活発化。洗いすぎで皮脂が過剰分泌される悪循環に陥っているケースも多い。
成分で選ぶケア:
- ナイアシンアミド——皮脂分泌を抑制しつつバリア機能を補う万能成分
- ライスパワーNo.6——皮脂腺に直接はたらきかけて過剰な皮脂を抑える(医薬部外品の有効成分として承認済み)
- 洗顔はアミノ酸系で1日2回まで。洗いすぎは逆効果
タイプB:隠れ乾燥型(Tゾーンはテカるが頬はつっぱる)
特徴:洗顔後10分でおでこと鼻は皮脂が出るが、頬や口まわりはつっぱり感がある。部位ごとに肌状態が違う。
原因:エアコンと外気の温度差、保湿不足。ベタつきを嫌って乳液やクリームを省くことでバリア機能が低下し、かえって皮脂が過剰分泌される悪循環。
エステ時代、「テカるから乳液を塗らない」と言っていたお客様の肌をスコープで見たら、皮脂量は多いのにセラミドが足りずバリアがスカスカだったことが何度もありました。乳液を追加したら2〜3週間でTゾーンのテカリまで落ち着いたんです。
成分で選ぶケア:
- セラミド(ヒト型セラミドNP・AP・EOP)——バリア機能の主成分を直接補給。軽めのジェル乳液で取り入れるのがベスト
- ヒアルロン酸——水分保持力が高く、べたつきにくいテクスチャーのものを選ぶ
- 化粧水はシャバシャバ系を選んで3回に分けて少量ずつ重ね付け。とろみ系は膜感が出やすく梅雨には向かない
タイプC:ゆらぎ敏感型(赤み・かゆみ・ヒリつきが出る)
特徴:洗顔後に頬や顎に赤みが出る。普段使っている化粧品がしみる、かゆいと感じる。
原因:汗と皮脂の混合物が肌を刺激する「汗荒れ」や、湿度による雑菌の繁殖。花粉シーズンからのバリア機能低下を引きずっているケースも。
わたし自身、毎年5月の花粉シーズン後に肌のヒリヒリが続いていた時期があります。バリア機能低下が原因と気づいてからは、セラミド+抗炎症成分中心のケアに切り替え、2〜3週間で回復するルーティンを確立しました。このルーティンが梅雨のゆらぎ肌にもそのまま応用できます。
成分で選ぶケア:
- グリチルリチン酸2K(ジカリウム)——医薬部外品にも使われる抗炎症成分。赤み・かゆみを鎮める
- セラミド+アラントイン——バリア補修と肌荒れ鎮静を同時に行う
- 攻めの成分(レチノール、高濃度ビタミンCなど)は一旦お休み。バリアが回復するまで守りのケアに徹する
梅雨の朝晩ルーティン例
わたしの朝6時のルーティンを梅雨バージョンで紹介します。基本の「洗顔→化粧水→乳液」は変えず、テクスチャーと量を調整するのがポイントです。
朝のケア
- 洗顔:アミノ酸系洗顔料で泡洗顔(ぬるま湯32〜34℃)。皮脂が多いTゾーンから洗い、頬は最後にさっと。60秒以内で終える
- 化粧水:セラミド配合のシャバシャバ系を手のひらで2〜3回に分けてハンドプレス
- 乳液:ジェルタイプの軽めの乳液を薄く。ベタつきが気になってもここは省かない
- 日焼け止め:SPF30・PA+++以上。梅雨の曇り空でも紫外線は届いている
夜のケア
- クレンジング:日焼け止めをしっかり落とす。ミルクまたは油脂系オイルで60秒以内
- 洗顔:朝と同じアミノ酸系で泡洗顔
- 化粧水:朝と同様、2〜3回の重ね付け
- 美容液(必要に応じて):タイプAはナイアシンアミド、タイプBはセラミド美容液、タイプCはアラントイン配合のもの
- 乳液またはクリーム:エアコンをつけて寝る場合はクリームでフタをする
梅雨にやりがちな3つのNG習慣
エステ時代のお客様にも多かった「梅雨の落とし穴」をまとめます。
NG1:ベタつくから乳液を省く
前述のとおり、乳液を省くとバリア機能が低下し、かえってテカリが悪化します。省くのではなく、テクスチャーを軽くするのが正解。わたし自身、一度夏に乳液を省いて2週間で頬のキメが乱れた経験があります。それ以来、季節を問わず乳液は欠かさず、代わりにテクスチャーをジェルに切り替える方針にしています。
NG2:あぶらとり紙を1日に何枚も使う
皮脂を取りすぎると肌が「足りない」と感じてさらに分泌します。ティッシュで軽く押さえる程度にとどめて、1日2〜3回まで。
NG3:「曇りだから日焼け止めいらない」と思う
曇天でも紫外線量は晴天時の60〜80%あります。紫外線はバリア機能を直接壊す要因なので、梅雨こそ日焼け止めを欠かさないでください。
まず2週間試す——梅雨のケア切り替えの判断基準
スキンケアを切り替えたら、最低2週間は様子を見てください。肌のターンオーバーは約28日周期。2週間あれば角質層が半分入れ替わるので、そのケアが自分に合っているかどうかの初期判断ができます。
2週間経っても改善しない場合は、タイプ診断をやり直すか、皮膚科を受診してプロの判断を仰ぐことをおすすめします。成分で選ぶ習慣があれば、皮膚科で処方された成分が何なのかも理解できますし、帰宅後のホームケアにも活かせます。
FAQ
Q. 梅雨時期は化粧水だけで乳液なしでも大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。化粧水だけでは水分が蒸発してしまい、バリア機能が低下します。ベタつきが気になる場合はジェルタイプの軽い乳液に切り替えてください。油分でフタをするステップは梅雨でも省かないのが鉄則です。
Q. 梅雨の肌荒れにビタミンC美容液は使えますか?
タイプAの皮脂過剰型には有効です。ただしタイプCのゆらぎ敏感型の場合は刺激になる可能性があるため、バリア機能が回復するまで使用を控え、まず抗炎症成分とセラミドで肌を立て直してから導入するのが安全です。
Q. 梅雨に毛穴が目立つのはなぜですか?
皮脂分泌の増加で毛穴が押し広げられることと、汗と皮脂が混ざって毛穴周りに酸化した汚れが溜まりやすくなるためです。朝晩の洗顔で毛穴の汚れを落としつつ、ナイアシンアミドで皮脂コントロールするのが効果的です。
Q. 梅雨と夏のスキンケアは同じでいいですか?
基本方針は同じですが、梅雨明け後は紫外線量がさらに上がるため、日焼け止めのSPF/PA値を上げる必要があります。また、梅雨の「隠れ乾燥」が解消されていない状態で真夏を迎えると、汗荒れや日焼け後の肌ダメージが重症化しやすくなります。梅雨のうちにバリア機能を整えておくことが真夏への最大の備えです。
参考文献
- 【6月の肌】高温多湿な梅雨時期のスキンケア方法って? — 資生堂 Beauty Journey
- 梅雨に肌荒れする原因とは?正しいスキンケアで対策しよう — ドクターリセラ
- 肌のかゆみ・赤み!梅雨時から増える皮膚トラブル — 草花クリニック
- ベタベタ肌に注意「梅雨時期」の肌荒れの原因って? — コスメランド






