美容部員時代、お客様からいちばん多く聞いた悩みは「午後になるとメイクが崩れて、直すのに時間がかかる」でした。
でもカウンターでお直しの様子を見ていると、気づくことがありました。時間がかかる人はほぼ全員、ベースからリップまで全パーツを最初から塗り直している。5年間で約1,000人の化粧直しを見てきて確信したのは、お直しが遅い原因は技術不足ではなく「直す範囲が広すぎる」ということです。
まず鏡で試してほしいのは、自分の崩れ方がどのタイプかを見極めること。崩れタイプを知れば、触るべきパーツは2〜3箇所に絞れます。今回は崩れタイプ別の3分お直し術と、ポーチに入れるアイテム5つだけをお伝えします。
あなたの崩れタイプはどっち?鏡で10秒セルフチェック
化粧崩れは大きく「皮脂崩れ」と「乾燥崩れ」の2タイプに分かれます。対処法がまったく違うので、まず自分のタイプを知ることが最優先です。
皮脂崩れタイプの特徴
- Tゾーン(おでこ・鼻)がテカる・ドロドロになる
- ファンデーションが毛穴に落ちて「毛穴落ち」する
- 午前中からティッシュに皮脂がつく
- 夏場や湿度の高い日に悪化しやすい
乾燥崩れタイプの特徴
- 頬や口周りがカサカサして粉を吹く
- ファンデーションがひび割れたように浮く
- 小ジワにファンデが溜まる
- エアコンの効いたオフィスで悪化しやすい
ちなみに「Tゾーンはテカるのに頬は乾燥する」混合タイプの方も多いです。その場合はパーツごとに対処を変えれば大丈夫。これについてはお直し手順の中で触れますね。
【皮脂崩れタイプ】3分お直し手順
皮脂崩れのお直しで最もやってはいけないのは、テカった上からパウダーを重ねること。皮脂の上にパウダーを乗せると厚ぼったくなり、夕方にはさらにドロドロになります。
ステップ1(30秒):ティッシュで皮脂をオフ
あぶらとり紙ではなくティッシュを使います。あぶらとり紙は必要な油分まで取りすぎて、かえって皮脂分泌を促すことがあるためです。Tゾーンをティッシュで軽く押さえるだけで十分。擦らない、押さえるだけ、がポイントです。
ステップ2(1分):崩れた部分だけスポンジでなじませる
ヨレたファンデーションをスポンジの何もついていない面で軽く叩き込みます。ここで新しいファンデーションは足さない。今ある分をなじませ直すイメージです。毛穴落ちがひどい部分だけ、スポンジにごく少量のパウダーをつけて叩きます。
ステップ3(1分30秒):血色だけ足す
ベースを直したら、仕上げにチークとリップだけ足します。この2パーツを押さえるだけで顔全体の印象が復活するんです。
美容部員時代、骨格ストレートで目鼻立ちがはっきりしたお客様に「お直しにマスカラもアイシャドウもいらない、チークとリップだけで十分ですよ」と引き算のお直しを提案したことがあります。鏡を見たお客様が「え、これで完成?」と驚いた顔は今でも覚えています。足し算が常にベストとは限らなくて、引くことで本来の顔の強みが活きるお直しもあるんです。
【乾燥崩れタイプ】3分お直し手順
乾燥崩れは皮脂崩れと真逆で、「水分を足す」ことが最優先になります。
ステップ1(30秒):ミストで水分補給
崩れた部分にミストを2〜3プッシュ。浮いたファンデーションが水分でやわらかくなり、なじませやすくなります。セラミドやヒアルロン酸配合のミストだと保湿効果も同時に得られます。
ステップ2(1分):指でファンデをなじませ直す
乾燥崩れの場合はスポンジより指がおすすめ。体温でファンデーションがやわらかくなり、肌に再密着しやすくなります。ひび割れている部分を指の腹でトントンと叩くように押さえてください。小ジワに溜まったファンデも、指でやさしく広げるだけでかなり目立たなくなります。
ステップ3(1分30秒):ツヤと血色を戻す
乾燥崩れタイプは顔全体がくすんで見えがちなので、頬骨の上にクリームチークをうすく重ねるとツヤと血色が同時に復活します。リップも保湿力のあるタイプを選んで。
混合タイプの方は、Tゾーンは皮脂崩れの手順、頬は乾燥崩れの手順というふうにパーツごとに使い分けてください。
ポーチに入れるのは5つだけ。崩れタイプ別の選び方
お直しポーチがパンパンになるのは、「念のため」で入れたアイテムが多すぎるから。実際に使うのは5つで足ります。
1. ティッシュ(またはあぶらとり紙)
皮脂オフ用。ポケットティッシュ1つで十分です。脂性肌の方はあぶらとり紙でもOKですが、頬が乾燥しやすい方はティッシュのほうが油分を取りすぎません。
2. ミスト化粧水(ミニサイズ)
乾燥崩れの救世主であり、皮脂崩れの方も仕上げのフィックスに使えます。50ml以下のミニサイズを選べばポーチに収まります。
3. クッションファンデまたはプレストパウダー
皮脂崩れタイプはプレストパウダー、乾燥崩れタイプはクッションファンデ。どちらもコンパクトに鏡がついているので、鏡を別に持つ必要がなくなります。
4. マルチユースのチーク兼リップ
チークとリップを1本で兼用できるスティックタイプやクリームタイプを選びます。ここで遊び心を残すなら、普段使いとは少し違う色味を1本忍ばせておくのもおすすめ。パーソナルカラーに合った色を選んでおけば、チークに塗ってもリップに塗っても浮きません。イエベ春ならコーラル系、ブルベ夏ならローズ系、イエベ秋ならテラコッタ系、ブルベ冬ならプラム系が使いやすいです。
5. 綿棒3〜4本
アイメイクの滲み修正に。目の下に落ちたマスカラやアイラインを綿棒でさっと拭き取るだけで、目元の印象が一気にクリアになります。乳液を少し染み込ませた綿棒を1本用意しておくと、ポイントリムーバー代わりになって便利です。
お直し以前に崩れにくい仕込みをしておく
3分お直し術を覚えると同時に、そもそも崩れにくいベースを朝の段階で仕込んでおくとさらに楽になります。
スキンケアの浸透を待つ
化粧水や乳液を塗ってすぐに下地を重ねると、スキンケアの水分とメイクの油分が混ざって崩れの原因に。スキンケア後に最低2〜3分おいてから下地を塗ると密着度が上がります。わたしは朝、スキンケアを塗った後にコーヒーを1杯飲む時間を挟んでいます。
下地の量は「少なすぎ」くらいがちょうどいい
下地もファンデーションも、多く塗ったぶんだけ崩れやすくなります。とくに皮脂崩れタイプの方は、Tゾーンの下地はごく薄く。再春館製薬所の解説でも、皮脂崩れと乾燥崩れでは下地の塗り分けが重要だと指摘されています。
パウダーは「皮脂が出る場所だけ」に
パウダーを顔全体に乗せると乾燥崩れを招きやすい。Tゾーンと小鼻まわりだけにブラシでふわっと乗せるのが、崩れとツヤのバランスを取るコツです。
FAQ
化粧直しは何時間おきにするべきですか?
決まった時間ではなく、崩れが気になったタイミングで直すのが基本です。目安としてはランチ後に1回、夕方に1回の計2回程度。頻繁に直しすぎると厚塗りになるので、1日2〜3回に抑えるのがおすすめです。
あぶらとり紙とティッシュ、どちらがいいですか?
皮脂量が多い方はあぶらとり紙でもOKですが、混合肌や乾燥寄りの方はティッシュのほうが安心です。あぶらとり紙は皮脂をしっかり吸着するぶん、取りすぎて余計に皮脂分泌を促すケースがあります。
マスクをしているとき、化粧直しで優先すべきパーツはどこですか?
マスク着用時は眉とアイメイクが印象の大部分を占めるため、目元の滲み修正を最優先にしてください。マスクを外すタイミングがわかっている場合は、直前にリップだけ塗り足せば十分です。
クッションファンデとプレストパウダー、どちらをポーチに入れるべきですか?
崩れタイプで選びます。皮脂崩れタイプはプレストパウダー、乾燥崩れタイプはクッションファンデ。迷ったらクッションファンデのほうが保湿力がありつつカバー力もあるので汎用性は高いです。
化粧直し用のチークとリップの色選びに迷います。おすすめの選び方は?
パーソナルカラーに合った色のマルチユースアイテムを1本選ぶのがいちばん失敗しにくい方法です。チークにもリップにも使える色なら、ポーチの中身を増やさずに血色感を取り戻せます。似合うが正解、が化粧直しにもそのまま当てはまります。
参考文献
- 「皮脂崩れ・乾燥崩れ」の見分け方|肌の状態で化粧崩れの原因と対策は違う — 再春館製薬所
- 【シーン別】初心者でも失敗しない!化粧直しの方法を解説 — KOSE
- 資生堂美容部員のメイク直しの必需品って?ポーチの中身大公開! — 資生堂






