「昔はストレートだったのに、最近なんかうねる」。サロンでこの相談が増え始めるのは、だいたい35歳を過ぎたあたりからです。
先日も38歳のお客様が「くせ毛になった気がする」と来店されました。頭皮スコープで確認すると、毛穴の形が丸ではなく楕円に歪んでいた。髪を引き抜いて断面を見ると、均一だった内部構造にばらつきが出ている。これがいわゆる「エイジング毛」のサインです。
縮毛矯正で一時的にまっすぐにすることはできます。でもそれは対症療法でしかない。頭皮を整えるところから始めないと、生えてくる髪は変わりません。
エイジング毛とは何か——30代後半から起きる3つの変化
エイジング毛とは、加齢によって髪の内部構造や毛穴の形状が変化し、うねり・細毛化・パサつきが生じた状態を指します。花王のヘアケア研究によると、日本人女性は30代後半から髪質の変化を実感し始める人が多いとされています。
原因は大きく3つ。
1. 毛包の歪み
頭皮のコラーゲンが減少し、毛包(毛穴の奥にある髪の工場)が歪む。まっすぐだった出口が楕円形になると、そこから生える髪は断面が均一にならず、うねりが出ます。
2. コルテックスの偏り
髪の内部を構成するコルテックス(皮質)には、水を吸いやすい部分と吸いにくい部分があります。加齢でこの2種類のバランスが崩れると、湿度によって片側だけ膨張し、髪がねじれるように曲がります。梅雨時期にエイジング毛が暴れる原因がこれです。
3. 頭皮の血行低下と栄養不足
頭皮がたるんで硬くなると、毛母細胞への血流が落ちる。届く栄養が減れば、髪は細くなり、ハリ・コシを失います。ここに女性ホルモン(エストロゲン)の減少が重なると、成長期が短くなり、1本1本が十分に育たないまま抜ける。
まず自分の頭皮タイプを知る——あぶらとり紙テスト
エイジング毛の対策は「頭皮タイプ→髪質→悩み→製品」の順番で組むのが鉄則です。悩みに飛びついて製品を選ぶと、的外れなケアを続けることになります。
シャンプー後6時間経った頭頂部にあぶらとり紙を5秒押し当ててください。
脂性タイプ:紙が半透明になるほど皮脂がつく。洗浄力が弱すぎるシャンプーだと毛穴に皮脂が詰まり、毛包の歪みを悪化させるリスクがあります。
乾燥タイプ:紙にほとんど変化なし。洗浄力が強すぎるシャンプーは頭皮の水分を奪い、さらに硬くする原因に。
敏感タイプ:皮脂量は少〜中程度だが、赤みやかゆみがある。バリア機能が低下しているため、刺激の少ない処方を最優先で選ぶ必要があります。
成分から逆算するシャンプー選び——エイジング毛に必要な3つの成分
年間120本のシャンプーを自分の髪と頭皮で検証してきた経験から、エイジング毛に効果を感じた成分を3つ挙げます。
1. ヘマチン
髪のケラチンと分子レベルで結合し、内部から補修する成分です。美健漢方研究所の解説によると、単なるコーティングと違い洗い流しても定着しやすい特性があります。カラー後の残留アルカリ除去にも有効なので、白髪染めを始めたエイジング世代には一石二鳥。
2. 加水分解ケラチン
分子量が小さく、髪の深部まで浸透してハリ・コシを補います。特にエイジング毛で細くなった髪に内側からボリューム感を出す働きがあります。成分表では「加水分解ケラチン(羊毛)」「加水分解ケラチン(羽毛)」などと表記されます。
3. ペリセア(ジラウロイルグルタミン酸リシンNa)
たった1分で毛髪内部に浸透するとされる補修成分。シャンプーのように短時間で流す製品でも効果を発揮しやすいのが特長です。
洗浄成分は、脂性タイプならアミノ酸系+ベタイン系のバランス処方を。乾燥・敏感タイプならアミノ酸系主体で、ラウレス硫酸Naなどの硫酸系は避けてください。
以前、高級ノンシリコンシャンプーを半年使い続けて猫っ毛がスカスカになったことがあります。成分表を確認せず「ノンシリコン=良い」と思い込んだ自分の失敗でした。シリコン入りに戻したら毛束感もツヤも回復した。エイジング毛は特にシャンプー選びを成分から逆算しないと、悪化させるリスクがあります。
寝る前のケアが命——エイジング毛を立て直す夜の3ステップ
エイジング毛の改善は、毎晩の習慣で8割が決まると考えています。わたし自身、23時のナイトケアは10年間欠かしたことがありません。
ステップ1:予洗い3分
38℃のぬるま湯で頭皮を3分間しっかり流す。これだけで汚れの7〜8割は落ちます。シャンプーの使用量も減り、すすぎ残しのリスクも下がる。エイジング毛は予洗い不足で毛穴に皮脂が残ると、毛包の歪みを助長します。
ステップ2:指の腹で頭皮マッサージ洗い
爪を立てず、指の腹で頭皮を動かすように洗います。頭頂部は特に血行が悪くなりやすいので、下から上へ持ち上げるように。洗いながら頭皮の血行を促すことで、毛母細胞への栄養供給を助けます。
ステップ3:頭皮から完全乾燥
ドライヤーは根元・頭皮から先に乾かします。毛先からは絶対に始めない。頭皮が濡れたまま寝ると雑菌が繁殖し、毛穴環境が悪化します。最後に冷風でキューティクルを閉じて仕上げ。冷風仕上げを省く人が多いですが、翌朝の手触りが全く違います。
4週間で判断する——シャンプーの評価タイミング
新しいシャンプーに替えたとき、「1週間使って変わらないからダメ」と判断する方が非常に多い。でも頭皮のターンオーバーは約28日。成分から逆算して選んだシャンプーなら、最低でも4週間は同じ製品を使い続けて、毛先まで変化があるかで判断してください。
わたしのサロンでは、広がりを傷みだと思い込んで「切るしかない」と来店されるお客様がいます。頭皮スコープで確認すると、実は乾燥が原因であってダメージではないことが多い。4週間のセルフケアプログラムで切らずに毛先の手触りが改善するケースを何度も見てきました。エイジング毛も同じ。焦って製品を次々変えるより、頭皮を整えて生えてくる髪の質を変えるほうが確実です。
FAQ
エイジング毛は縮毛矯正で治りますか?
縮毛矯正で今生えている髪のうねりをまっすぐにすることは可能です。ただし新しく生えてくる髪は矯正されないため、根本的な解決にはなりません。頭皮環境を整えるケアと併用するのが現実的です。
エイジング毛にトリートメントは効果がありますか?
サロントリートメントは表面のコーティングと内部補修で一時的に改善しますが、毎日のシャンプーの洗浄力が頭皮タイプに合っていないと、1週間で元に戻ることがあります。トリートメントを活かすためにも、まずシャンプーの見直しが先です。
エイジング毛は何歳から始まりますか?
個人差はありますが、一般的に30代後半から髪質の変化を実感する方が多いです。頭皮のコラーゲン減少は28歳頃から始まるとされており、生活習慣や頭皮ケアの有無で進行速度は変わります。
サプリメントや食事でエイジング毛は改善できますか?
タンパク質・鉄分・亜鉛・ビタミンB群は髪の成長に不可欠な栄養素です。内側の栄養補給と外側の頭皮ケアは両輪で、どちらか一方では不十分。食事を整えつつ、頭皮タイプに合ったシャンプーとナイトケア習慣を続けることが改善の近道です。
参考文献
- 加齢にともなう髪の変化と悩み — 花王株式会社 ヘアケアサイト
- 加齢による髪のうねりの原因とは?ツヤ髪を維持するための対策を紹介 — ロート製薬オンライン
- ヘマチンとはケラチンと結合しやすい成分!ヘマチン入りシャンプー・養毛料で髪を健やかに! — 美健漢方研究所






